今回は津田誠一さんの著書である「常識破りの川内優輝マラソンメソッド」をご紹介しようと思います。
皆さんはプロランナーの川内優輝選手をご存じでしょうか。
先日行われた「びわ湖毎日マラソン」で自己ベストとなる「2時間7分27秒」を記録し、マラソン2時間20分以内(サブ20)の最多完走数でギネス記録を持っている元公務員ランナーです。
そんな川内優輝選手の学習院大学陸上部時代の監督が、著者である津田誠一さんです。
この本の中で津田さんはマラソンについて「早く走るのではなく、調子が悪くてもそのペースなら走れる(押し切れる)感覚を覚え、そのペースを底上げすること」が重要と述べています。
ポイント練習と言われる強度の高い練習は基本的に2回/週。その2回もスピード練習と距離走(レースで代用するのもあり)とし、それ以外の練習日はジョグでつなぐことを推奨しています。
負荷を掛け過ぎないため、怪我のリスクを抑えられ、何より走ることが嫌いになることがない練習となっています。
公務員時代の川内優輝選手の月間走行距離は約600km。実業団ランナーの月間走行距離が約800~1000kmに対して、少ない距離となっています。
また、練習も1日に1回、平日のポイント練習としてスピード練習を行い、週末には距離走代わりにレースに出場する。川内優輝選手が実業団ランナーより圧倒的にマラソン出場数が多いのはそのためです。仕事が忙しいときは通勤ランや短時間で高強度の練習効果が得られる坂ダッシュなどを行っており、すごい方なのですが、私は勝手に親近感を抱いています。
公務員ランナーからプロランナーに転向後は、時間に余裕が生まれるようになったため、月間走行距離を約1000kmまで伸ばしたそうですが、記録が伸びず、月間走行距離を700km前後に戻したことで、びわ湖毎日マラソンで自己ベストを記録されています。
「速さではなく最後まで押し切ること。あくまで余裕を持ち、頑張りすぎないことが大事」
記録を追い求める際にどうしてもスピードを求めてしまいますが、それをあえて捨てる。そこが本書のタイトルになっている【常識破り】たる所以です。
そのために練習で気を付けることは、
①ランニングフォームを乱さない
ランニングフォームが乱れないスピードで最後まで練習を行う。ランニングフォームが乱れるくらいまでスピードを上げて追い込んで、「よしっ!よくやった!」と自己満足するのではなく、練習後にも余力を残しておくことで、オーバーワークによるケガの予防につながる。
②繋ぎのジョグの時間を守る
インターバル走の1本1本の設定タイムを速くするのではなく、繋ぎのJOGを短く(200mJOGを65~70秒)し、故障リスクを最小限にするとともに、スピード持久力と心肺機能を鍛えることを推奨しています。そのため、最後までキープできるペース設定とするのがポイント。スピード不足が心配な方は最後に300mダッシュを入れることで、脳にスピードに対するいいイメージを残しておくことを進めています。
③一定のリズムを淡々と刻む
「リズム感が無くなったら終わり」と言うくらい、津田さんはリズム感を重要視しています。意識するのはタイムではなくリズム。(タイム<リズム)
理想はリズムを刻んで走っていたら、いつの間にか時間が経っていることとも述べられています。
④膝のタメを使う
膝のタメ=膝のクッションをうまく使うことで、着地時のダメージによる疲労を抑え、スピードを落とさず長時間走れるようになる。短距離走のように膝が伸び切らないことがポイント。
⑤距離や本数はしっかりとこなす
調子が悪いのであればペースを落としても良いが、距離と本数はしっかりこなすことが重要。それが、最後まで押していける力に繋がる。
距離に追われ、やる気やモチベーションを失い、疲労が溜まるようなら、練習量は少なくし、走った後においしいお酒を飲むくらいが丁度いい。
あくまでも頑張りすぎない、マラソンを楽しむことが結果的にマラソンが速くなることに繋がる。マラソンでは練習で出来ないことが本番で出来ることもあると津田さんは述べています。
マラソンに向けて少し本格的に取組んでみようと思う方は、是非、読んでいただきたい本になっています。
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