HAPPY STRESS: ストレスがあなたの脳を進化させる

今回は青砥瑞人さんの著書である「HAPPY STRESS: ストレスがあなたの脳を進化させる」をご紹介したいと思います。

最先端脳科学でわかった
ストレスを味方につけ
最強のパフォーマンスと最高の人生を導く方法とは?


ストレスというと、ネガティブな印象を受ける人がほとんどでしょう。
確かにストレスは私たちを苦しめることもあります。
しかし、ストレスは、私たちを守り、私たちを強くし、私たちを成長させてくれる大切な養分でもあるのです。

私たちの身体内で、私たちのために働こうとするストレスをなくすことはできません。
ストレス反応は、生物、人類にとっての自然摂理の一部だからです。
目に見えないストレスに私たちが不安を覚えるのは、生物として自然の反応なのです。
よく分からないものには、警戒していくことで生存確率を高めてきたからです。

ところが近年、科学技術の発展に伴い、ストレスは必ずしも目に見えないものではなくなりました。
神経科学という自然科学が、このストレスの仕組みを、細胞や分子のレベルにまで目を向け、紐解いています。

本書では、そもそもなぜ生物、人類にストレスという反応が備わり、
そしてどんな意義や役割があるのか、ということを、なるべく分かりやすく神経科学や心理学などの知見から紐解きつつ、
日常生活との橋渡しをしていきたいと思います。

単にストレスが減り、気持ちが楽になる、というだけではなく、
ストレスの力を借りれば、私たちの成長を促したり、幸せを見出しやすくなるはずです。

ストレスは、ちょっと柄の悪い地元のあんちゃんのように、
近寄り難いのだけれど、でも少し話してみると案外いいやつというような存在です。
確かに、深く心通わすまでは少し時間がかかるけれど、
それでもストレスと心通わし、自分の最高なバディにすることができたなら、
人生にとって、とっても頼もしい、心強い存在となるのです。

■目次
はじめに–ストレスは「武器」になる。
序章:ストレスと向き合うということ– 限られた人生、何を脳に刻み込んでいきたいのか
・ストレスとつき合う第一歩は、「内側」の世界に注意を向けること
・学びや幸せは私たちの「内側」に蓄えられる
・脳で処理できる情報は、1000分の1以下
・大切なのは、あなたの貴重な注意の対象を、どんな情報に向かわせたいか
・ネガティブなものがどうしても気になってしまう脳
・「Use it Lose it」–使えば機能し、使わなければ消えていく
・脳に幸せの記憶を蓄積させていくしくみ
・「ご機嫌な扁桃体」をつくる–見える世界を「宝箱」に変えるために
第1章:ストレスを知る– なぜ私たちにストレスシステムが搭載されたのか
・「ダークストレス」と「ブライトストレス」
・「ブライトストレス」が私たちを成長させる
・「ストレス世界」の構造とは–?ストレス、ストレッサー、ストレスメディエーターの違い
・「ダークストレス」の餌食になりやすい人とは?
・なぜストレスシステムが私たちの身体に構築されたのか
・私たちの身のまわりにある「4つのストレッサー」
・心理的ストレッサーに慣れはない、むしろ増幅する
・「身体的ルーティン」でストレスを味方につける
・「同時発火された神経細胞は結びつく」原則を利用する
第2章:ダークストレスを和らげる — 脳や身体がもつ性質を科学的に利用する
【ダークストレスとのつき合い方――ダークストレスの芽を摘む、すばやく対処する】
・過剰なストレス反応はたとえ一瞬でも脳で増幅する
・ストレスと向き合うということは、ふだんの自分と向き合うということ
・心理的安全性の確保が、ダークストレスと向き合う第一歩
・ストレッサーに気づいてあげて、ダークストレスの芽を摘む
・能動的な脳の使い方にフォーカスして、ストレッサーを手放す
・運動する、絵を描く、文章を書く…に脳のリソースを割く
・目的にフォーカスして、ストレッサーを手放す
・「期待値」を調整すれば、ダークストレスに育たない
・無意識的な期待をして、ストレス反応を引き起こしていないか
・貢献心の罠「:見返りバイアス」によるストレス反応
【ダークストレス対策の味方になるもの――脳や身体がもつ恒常性を利用する】
・笑う門には福来たる――ベータエンドルフィンの効果
・なぜあらゆる文明に音楽とダンスが存在するのか――セロトニンの効果
・ちょっと疲れる運動をしよう–ベータエンドルフィンとセロトニンの効果
・脳の自動スイッチを意識的に操る–副交感神経の効果
・副交感神経を働かせる1 長く息を吐く呼吸法
・副交感神経を働かせる2 食事に集中する
・副交感神経を働かせる3 泣く
・心から抱きしめる–オキシトシンの効果1
・心から信じる–オキシトシンの効果2
・感謝をする–ポジティブな記憶を刻む
第3章:ブライトストレスを味方につける― ストレスエネルギーを最大限に生かし、成長を加速させる
【ブライトストレスを成長の糧にする――脳を進化させる】
・ストレスは闇にも光にもなりうる
・VUCAの時代に適応的な能力とは?
・自分自身が世界のプロデューサーという意識をもってみる
【脳はいかにして成長するのか――脳の成長の原理】
・「記憶痕跡化」の正体とは–?あなたらしさはどうつくられるか
・「脳の投資システム」とは–?長期記憶化された神経細胞をつくる
・長期記憶の特徴と3日坊主のしくみ
・脳エネルギーと脳の生存戦略
・「三つ子の魂百まで」のしくみ
・変わるために、変わらない
【ダークストレスをブライトストレスに変える分子たち】
・ダークストレスとブライトストレスの分岐点とは?
・私たちの心に作用する化学物質
・大忙しのノルアドレナリンパワーを濃縮させる
・プレッシャーがかかるとき、いかにドーパミンを誘導するか
・ドーパミンがでやすい脳の状態を育む
・脳を躍らすベータエンドルフィン
・心を整えるDHEA
【ブライトストレスを導く思考法――脳の成長の原理から考える】
・求められるのは、しなやかな「頑固さ」
・新しいことを学ぶとき「モヤモヤ」するのは、脳の成長痛である
・「堂々巡り」をすることが、神経細胞の成長を促す
・「葛藤」の情報処理が、脳を大いに成長させる
・ゴールと目的を記憶痕跡化させチャンスを増やす
・VUCAの時代に必要になるのは、非論理的な能力
第4章:ストレスを武器にした「進化し続ける脳」とは―? ストレスを力に変えて成長する4つの脳
【01 プロセスドリブン脳──プロセスに価値を見いだす脳】
【02 レジリエンス脳──打たれ強い脳】
【03成長ドリブン脳──成長にコミットする脳】
【04希望脳──根拠なき自信をもてる脳】


著者の青砥さんは人の成長や幸福に関する応用神経科学を学ばれた方で、私たちが感じているネガティブなストレスを神経科学や心理学の観点からポジティブなハッピーストレスにする方法を本書で教えてくれています。

1.ストレスとは何か?
最近では新型コロナウイルス(オミクロン)の第6派到来により、収束し始めたコロナ状況がぶり返し、またコロナ禍の生活に逆戻りしてしまいました。

テレワークや在宅勤務、外出自粛などによりストレスを感じておられる方が多いと思います。

そのような世の中だからこそ、ストレスをうまく付き合ていく必要があります。

自分自身がどのようなことにストレスを感じ、どのようなことをするとストレスが和らぐのか、みなさんも何となくは何がストレス源で自分にとって何がストレス解消法なのかはご存じだと思います。

そもそも、私たちの意識はネットやニュース、人の顔色などの「外側の情報」と感情や眠気、空腹などの自分自身の「内側の情報」の2つがあると言われています。

しかし、現代社会ではネットやニュース、SNSなどの外側の情報が多すぎて、自分自身の内側の情報が乱され、それがストレスになっていることが多いです。

人というのはネガティブな情報に意識が向きやすくなるネガティビティバイアスという性質があるので、どうしても外側からのネガティブ情報による影響を受けてしまいます。

これは特にニュースなどのテレビ番組が視聴率を取りたいがために、ネガティブなニュースを多く報道している真相だと言えます。

このようなネガティブな情報に洗脳され、ストレスを感じないようにするためには、意識して自分の内側の情報に目を向けて、なるばくポジティブな情報を得る必要があります。

しかし、日常のポジティブな情報というのはみなさん案外見落としがちです。

例えば、天気が良ければ「今日もいい天気だなー」となりますし、通勤電車がいつもより空いていれば「今日はラッキーだなー」となると思います。

些細なことでもポジティブな情報に目を向けようと思うと、身の回りにたくさん転がっているものです。

ですので、みなさんも日常に転がっているポジティブを拾い集めて、その時の自分の感情に目を向けるようにしましょう。


2.ダークストレスとブライトストレス
本書においてストレスには、うつ病や死といった暗いイメージであるダークストレスと、自分の成長や幸せといった明るいイメージであるブライトストレスがあると記載されています。

みなさんがストレスと聞いてイメージするのは、ダークストレスの方だと思いますが、みなさんが日々の幸せを手に入れるためにはダークストレスを減らしていき、ブライトストレスを多くする必要があります。

それではどうやってダークストレスを減らしていくかというと、①ダークストレスの要因を紙に書き出す方法②何も考えられなくなるくらい能動的に脳を使うことが紹介されています。

①であれば、紙に書き出すことで嫌な出来事を忘れてストレスを開放できると言ったメリットがあります。

自分がストレスに感じていることを書いてみて、それに対する対処法を書いてみると、自分の頭の中のモヤモヤがスッキリします。

しかし、原因と対処法を紙に書いても、いつまでもその紙を持ち歩いたり、目の届く範囲に置いていると、反ってストレスになってしまうので、紙に書いて具現化したら、すぐにその紙は捨てるようにしましょう。

そうすることで、いつまでも引きずらずに紙と一緒に感じていたダークストレスも捨て去ることが出来ます。

②については、能動的にダークストレスの事を考える暇を与えないことで、ダークストレスについて悩まなくて済むと言った効果があります。

能動的とは「自らが考えて物事に取り組むという意味のこと」とされており、ご自身にとって夢中になれることです。

例えばハードなトレーニングをしたり、読書をしたりすることがこれにあたると思います。

次にブライトストレスについてですが、先に述べた通り、ブライトストレスについては自分の成長や幸せにつながるストレスの事です。

資格試験の勉強やスポーツなどに感じるプレッシャーやストレスがブライトストレスにあたり、乗り越えることで達成感や充実感を得ることが出来ます。このブライトストレスを味方につけることで、脳は学びを促進し、人として大きく成長することが出来ます。


そしてこのブライトストレスを味方につける方法として、①外の刺激がないような環境で作業を行うこと②日頃から探求心や好奇心を持つこと③好きなことに囲まれることとされています。

①については、ノルアドレナリンという脳内ホルモンをうまく活用することで、生産性や集中力を高めてくれるとされています。このノルアドレナリンをうまく活用するためには周りの音や匂いなどのノイズが無い場所で作業することが良いとされていますので、外からの刺激がない所で作業することが効果的です。

②については、ドーパミンという脳内ホルモンをうまく活用することで、やらされている感覚から自発的に何かを行っている感覚にする事とされています。人間は自分が面白いと感じていることや興味があることに対して自発的に行動する習性がありますので、その習性をうまく利用することでパフォーマンスアップに繋がります。

③については、②で分泌された脳内ホルモンであるドーパミンを維持することを目的としています。人は興味があることに取り組んでも次第に興味が薄れたりします。そんな時に興味を薄れないようにするために、好きなものに囲まれながら作業を行うことによりそれを維持できるとされています。

3.成長する脳の育て方

ここではストレスに負けない成長する脳の育て方を紹介しようと思います。

成長する脳のタイプとして、①プロセスドリブン脳 ②レジリエンス脳③成長ドリブン脳④希望脳の4つがあるとされています。

まず①のプロセスドリブン脳については、これはプロセスに価値を見出す脳の事です。

私たちはどうしても物事の結果に拘ってしまいがちですが、結果に拘り過ぎると結果を積み重ねなくてはモチベーションを保ちづらいと言ったデメリットがあります。

そこでプロセスドリブン脳は途中のプロセスに目を向け、日々の小さな積み重ねをモチベーションにする脳の事を指します。

人な努力をすれば必ずしも成功するとは限りませんが、努力をすることで昨日の自分よりは必ず成長しているはずです。その成長に目を向け、努力することにモチベーションを見出してほしいと思います。

次に②のレジリエンス脳ですが、これは打たれ強く、折れない脳の事を指します。

みなさんの周りにも打たれ強い人はいるのではないでしょうか?

先天的に打たれ強い人もいますが、このレジリエンス脳については、後天的な要素が大きいです。

よく失敗は失敗のままにしておくから失敗。成功するまで失敗を積み重ねれば、失敗は過程に変わると言いますが、まさしくその通りなんです。

失敗を成功の糧に出来るかは人それぞれの感じ方や考え方によるところが大きく、成功体験やプロセスドリブン脳とうまく紐付けしてやることで、レジリエンス脳は育まれていきます。

成功や成長を実感した時こそ、過去の失敗を思い出しましょう。

③の成長ドリブン脳については、自分の成長やできている部分に注意を向け脳の事です。失敗を学びのモチベーションにつなげるためには、まずは自分が成長しているという実感を記憶に強く植え付けることが重要です。

最後に④の希望脳ですが、これは①~③の脳を根拠なき自信や希望を持つことができる脳の事です。

成功している人の中には案外根拠のない自信からスタートしている人がいます。

何かを取り組むうえで、最初の1歩を踏み出すのはとても怖いことですが、その1歩を踏み出すことでこの希望脳は成長するとされています。

現代社会においてストレスは避けても通れないものです。

そのストレスとうまく付き合っていくためには、本書はとても有効な本となっていますので、興味がある方は是非、読んでみてください。

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