今回は青砥瑞人さんの著書である「HAPPY STRESS: ストレスがあなたの脳を進化させる」をご紹介したいと思います。
著者の青砥さんは人の成長や幸福に関する応用神経科学を学ばれた方で、私たちが感じているネガティブなストレスを神経科学や心理学の観点からポジティブなハッピーストレスにする方法を本書で教えてくれています。
1.ストレスとは何か?
最近では新型コロナウイルス(オミクロン)の第6派到来により、収束し始めたコロナ状況がぶり返し、またコロナ禍の生活に逆戻りしてしまいました。
テレワークや在宅勤務、外出自粛などによりストレスを感じておられる方が多いと思います。
そのような世の中だからこそ、ストレスをうまく付き合ていく必要があります。
自分自身がどのようなことにストレスを感じ、どのようなことをするとストレスが和らぐのか、みなさんも何となくは何がストレス源で自分にとって何がストレス解消法なのかはご存じだと思います。
そもそも、私たちの意識はネットやニュース、人の顔色などの「外側の情報」と感情や眠気、空腹などの自分自身の「内側の情報」の2つがあると言われています。
しかし、現代社会ではネットやニュース、SNSなどの外側の情報が多すぎて、自分自身の内側の情報が乱され、それがストレスになっていることが多いです。
人というのはネガティブな情報に意識が向きやすくなるネガティビティバイアスという性質があるので、どうしても外側からのネガティブ情報による影響を受けてしまいます。
これは特にニュースなどのテレビ番組が視聴率を取りたいがために、ネガティブなニュースを多く報道している真相だと言えます。
このようなネガティブな情報に洗脳され、ストレスを感じないようにするためには、意識して自分の内側の情報に目を向けて、なるばくポジティブな情報を得る必要があります。
しかし、日常のポジティブな情報というのはみなさん案外見落としがちです。
例えば、天気が良ければ「今日もいい天気だなー」となりますし、通勤電車がいつもより空いていれば「今日はラッキーだなー」となると思います。
些細なことでもポジティブな情報に目を向けようと思うと、身の回りにたくさん転がっているものです。
ですので、みなさんも日常に転がっているポジティブを拾い集めて、その時の自分の感情に目を向けるようにしましょう。
2.ダークストレスとブライトストレス
本書においてストレスには、うつ病や死といった暗いイメージであるダークストレスと、自分の成長や幸せといった明るいイメージであるブライトストレスがあると記載されています。
みなさんがストレスと聞いてイメージするのは、ダークストレスの方だと思いますが、みなさんが日々の幸せを手に入れるためにはダークストレスを減らしていき、ブライトストレスを多くする必要があります。
それではどうやってダークストレスを減らしていくかというと、①ダークストレスの要因を紙に書き出す方法や②何も考えられなくなるくらい能動的に脳を使うことが紹介されています。
①であれば、紙に書き出すことで嫌な出来事を忘れてストレスを開放できると言ったメリットがあります。
自分がストレスに感じていることを書いてみて、それに対する対処法を書いてみると、自分の頭の中のモヤモヤがスッキリします。
しかし、原因と対処法を紙に書いても、いつまでもその紙を持ち歩いたり、目の届く範囲に置いていると、反ってストレスになってしまうので、紙に書いて具現化したら、すぐにその紙は捨てるようにしましょう。
そうすることで、いつまでも引きずらずに紙と一緒に感じていたダークストレスも捨て去ることが出来ます。
②については、能動的にダークストレスの事を考える暇を与えないことで、ダークストレスについて悩まなくて済むと言った効果があります。
能動的とは「自らが考えて物事に取り組むという意味のこと」とされており、ご自身にとって夢中になれることです。
例えばハードなトレーニングをしたり、読書をしたりすることがこれにあたると思います。
次にブライトストレスについてですが、先に述べた通り、ブライトストレスについては自分の成長や幸せにつながるストレスの事です。
資格試験の勉強やスポーツなどに感じるプレッシャーやストレスがブライトストレスにあたり、乗り越えることで達成感や充実感を得ることが出来ます。このブライトストレスを味方につけることで、脳は学びを促進し、人として大きく成長することが出来ます。
そしてこのブライトストレスを味方につける方法として、①外の刺激がないような環境で作業を行うこと、②日頃から探求心や好奇心を持つこと、③好きなことに囲まれることとされています。
①については、ノルアドレナリンという脳内ホルモンをうまく活用することで、生産性や集中力を高めてくれるとされています。このノルアドレナリンをうまく活用するためには周りの音や匂いなどのノイズが無い場所で作業することが良いとされていますので、外からの刺激がない所で作業することが効果的です。
②については、ドーパミンという脳内ホルモンをうまく活用することで、やらされている感覚から自発的に何かを行っている感覚にする事とされています。人間は自分が面白いと感じていることや興味があることに対して自発的に行動する習性がありますので、その習性をうまく利用することでパフォーマンスアップに繋がります。
③については、②で分泌された脳内ホルモンであるドーパミンを維持することを目的としています。人は興味があることに取り組んでも次第に興味が薄れたりします。そんな時に興味を薄れないようにするために、好きなものに囲まれながら作業を行うことによりそれを維持できるとされています。
3.成長する脳の育て方
ここではストレスに負けない成長する脳の育て方を紹介しようと思います。
成長する脳のタイプとして、①プロセスドリブン脳 、②レジリエンス脳 、③成長ドリブン脳、④希望脳の4つがあるとされています。
まず①のプロセスドリブン脳については、これはプロセスに価値を見出す脳の事です。
私たちはどうしても物事の結果に拘ってしまいがちですが、結果に拘り過ぎると結果を積み重ねなくてはモチベーションを保ちづらいと言ったデメリットがあります。
そこでプロセスドリブン脳は途中のプロセスに目を向け、日々の小さな積み重ねをモチベーションにする脳の事を指します。
人な努力をすれば必ずしも成功するとは限りませんが、努力をすることで昨日の自分よりは必ず成長しているはずです。その成長に目を向け、努力することにモチベーションを見出してほしいと思います。
次に②のレジリエンス脳ですが、これは打たれ強く、折れない脳の事を指します。
みなさんの周りにも打たれ強い人はいるのではないでしょうか?
先天的に打たれ強い人もいますが、このレジリエンス脳については、後天的な要素が大きいです。
よく失敗は失敗のままにしておくから失敗。成功するまで失敗を積み重ねれば、失敗は過程に変わると言いますが、まさしくその通りなんです。
失敗を成功の糧に出来るかは人それぞれの感じ方や考え方によるところが大きく、成功体験やプロセスドリブン脳とうまく紐付けしてやることで、レジリエンス脳は育まれていきます。
成功や成長を実感した時こそ、過去の失敗を思い出しましょう。
③の成長ドリブン脳については、自分の成長やできている部分に注意を向け脳の事です。失敗を学びのモチベーションにつなげるためには、まずは自分が成長しているという実感を記憶に強く植え付けることが重要です。
最後に④の希望脳ですが、これは①~③の脳を根拠なき自信や希望を持つことができる脳の事です。
成功している人の中には案外根拠のない自信からスタートしている人がいます。
何かを取り組むうえで、最初の1歩を踏み出すのはとても怖いことですが、その1歩を踏み出すことでこの希望脳は成長するとされています。
現代社会においてストレスは避けても通れないものです。
そのストレスとうまく付き合っていくためには、本書はとても有効な本となっていますので、興味がある方は是非、読んでみてください。
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