今回は尾形哲さんの著書「専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド」をご紹介します。
著者の尾形さんは肝臓に関する書籍を多数出版されている肝臓のスペシャリストである肝臓外科医の方です。
みなさんは肝臓に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
大半の方はアルコールを分解する臓器と思われているかも知れませんが、実は肝臓には人体に関するたくさんの役割があり、換えがきかない臓器の1つです。
近年では技術の進歩により人工血管や人工臓器などが医療の場で採用されていますが、肝臓だけは人体に対する役割が大きすぎるから人工的に作ることが出来ない臓器の1つとされています。
本書は肝臓のスペシャリストである尾形さんが、近年増加している脂肪肝を根本的に改善するための食事法について述べている本になっていますので、私のブログでも少しだけ本書について、紹介したいと思います。
1.肝臓の働きと脂肪肝が引き起こす問題
冒頭でも述べましたが、肝臓の働きと聞いて真っ先にイメージするのが、アルコールの分解の役割を担ってると言うことではないでしょうか。
ですが、肝臓にはアルコールの分解以外にも、以下の働きを担っています。
【肝臓の役割】
・栄養分を体内で使える形に分解、合成する
・食事により摂取したブドウ糖をグリコーゲンや中性脂肪として蓄えておく働き
・脂肪の消化吸収を助ける胆汁を作る
・病原菌やウイルスを解毒し、全身に回らないように闘う働き など
これは余談ですが、肝臓は英語で「Liver(生命)」と書くように、人体の生命を担っている臓器と言っても過言ではありません。
そんな肝臓ですが、実は成人の3人に1人は、何らかの障害を抱えていると言われています。
肝臓障害の中で最も多いのは脂肪肝。
この脂肪肝とは肝臓にある肝細胞の中に脂肪が溜まって起こる病気であり、うち10~20%は脂肪肝炎、5年後には20%が肝硬変(肝細胞が壊れ続け肝臓が硬くなる病気)になり、最終的には肝臓機能をすべて失い死に至る病気に繋がります。
これまでは肝臓に障害のある方のほとんどは、慢性ウイルス肝炎やアルコール多飲の方でしたが、近年ではアルコールを飲まないにもかかわらず、脂肪肝になっている成人が2016年時点で2266万人もいるとされ、現在でも増加傾向にあります。
お酒も飲まず、ウイルス肝炎にも感染していない人がなぜ脂肪肝になるのか?
それは食事に問題があるから以外に他なりません。
2.脂肪肝を改善する方法
脂肪肝を改善する方法が食事です。今のところ脂肪肝を改善できる薬は無いようなので、食事を整えることこそが、脂肪肝への特効薬です。
本書では適切な食事をすれば、わずか3か月で脂肪肝は改善すると述べられており、なんと尾形先生が食事指導した患者に限っては、3か月で5kg以上の減量の成功率は80%以上だそうです。
尾形先生の食事法のモットーは「肝臓を傷めつける食材をやめ、肝臓を労わる食材を増やす」と言うことです。
特に「肝臓を傷めつける食材」として述べられていたのが①糖質、②加工食品、③サプリメントの3つです。
①糖質と②加工食費については、周知の事実ですが、意外だったのが③のサプリメントではないでしょうか。
本書ではサプリメントは本来であれば不要なものであり、そのサプリメントが本当に必要なものなのか、今一度考えてもらえればと思います。
サプリメントを服用される方の大半は自己判断であり、必要数や量が曖昧なまま服用されているかとも多く、必要以上のサプリメントを服用することはかえって肝臓に負担になることもありますので、自己流でサプリメントを服用している方は、一度、サプリメントをやめてみるのもいいかもしれません。
3.肝臓をいたわる究極の5ヶ条
前項で脂肪肝の改善方法を述べましたが、それが出来たら苦労しないと言う人もいると思いますので、ここでは尾形先生が患者さんに伝えると言う「感情を労わる究極の5か条」を紹介します。
全て出来ればもちろんいいのですが、どれか1つでも実践できれば肝臓を労わることが出来ると思うので、試してみてください。
第1条:体重を1日1回測って記録する
毎日体重を測定し、測定した体重や食事内容をスマホの写真に収めておくことで、セルフコントロール力を高められ、ダイエット効果が高められるそうです。
第2条:甘い飲み物をやめる
肝臓に脂肪が溜まる原因は食事14%、皮下脂肪と内臓脂肪が60%、糖質から生成される脂肪が26%と言われているので、糖質たっぷりの甘い飲み物を飲むことで、脂肪肝や糖尿病になりやすくなるためです。
第3条:野菜を増やす
野菜を食べることで糖の吸収を抑え、満足感を得ることが出来ます。特に野菜を最初に食べるベジファーストにより糖の吸収を抑えることができるので、食事の際はまず野菜から食べましょう。
第4条:糖質を減らす
糖質は脂肪肝の原因になるためです。
私たちの主食であるご飯や麺、パンなどは脂肪になりやすい精製糖質のため、本書では砂糖と同じと考えるようにしましょうと述べられていました。
第5条:加工食品を減らす
加工食品を摂取することで、食品添加物の解毒作業に追われ肝臓が休めなくなるそうです。
特に食品添加物の中でも「果糖ぶどう糖液糖」は吸収スピードが早く、肝臓の細胞を損傷させ、脂肪肝の原因になると記載されていますので、食品の成分表示に「果糖ぶどう糖液糖」と表示されていたら、買わないようにするのがいいのですが、この「果糖ぶどう糖液糖」はありとあらゆる食品に使用されていますので、本書では①甘い飲み物、②スナック菓子、③カップ麺の3つは完全に摂らないことが推奨されていました。
肝臓は臓器の中でも沈黙の臓器と言われるくらい、症状が表れにくい臓器ですが、健康診断で”脂肪肝”と診断された方や健康診断の項目であるAST、ALT,γーGTPの値が正常値から外れている方は、これを機に肝臓を労わってあげてみてはいかがでしょうか。
書籍のリンクを貼っておきますので、是非、興味のある方は本書を手に取って読んでみてください。
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