今回は尾形哲さんの著書「ダイエットも健康も 肝臓こそすべて」をご紹介します。
本書は以前、私のブログでもご紹介しました「専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド」(https://time–will–tell.com/2022/09/19/%e5%b0%82%e9%96%80%e5%8c%bb%e3%81%8c%e6%95%99%e3%81%88%e3%82%8b-%e8%82%9d%e8%87%93%e3%81%8b%e3%82%89%e8%84%82%e8%82%aa%e3%82%92%e8%90%bd%e3%81%a8%e3%81%99%e9%a3%9f%e4%ba%8b%e8%a1%93-%e4%ba%88%e7%b4%84/)の著者である尾形先生の新刊です。
今や日本人成人の3人に1人が「脂肪肝」であると言われていますが、本書では前作同様、肝臓を労わることで健康的な体を手に入れられると述べられています。
「脂肪肝」は3人に1人がかかる病気であり、命に係わるにも拘らず、自覚症状がほとんど出ない厄介な病気です。
みなさんも1度は耳にしたことがあるかも知れませんが、肝臓は重要な臓器であるにも関わらず「沈黙の臓器」と言われるくらい、悪くなっても症状が出ない臓器です。
本書では、肝臓の仕組みや病気、その対策がまとめられていますので、本書に紹介されていることを少しだけご紹介します。
1.肝臓の役割
肝臓には大きく分けて、「代謝」「解毒作用」「胆汁の生成・分泌」「免疫機能」の4つの役割があります。
(1)代謝
私たちは食物から摂取した栄養素をそのまま利用することができません。
そのため、胃や腸で分解、吸収された栄養素を肝臓で利用しやすい物質にして貯蔵し、必要に応じて、それらを分解してエネルギーを作り出しています。
肝臓で分解された物質は血液をめぐり、全身の器官や臓器に送り出され、栄養素を体が利用しやすい形に分解・合成する働きを代謝と呼んでいます。
肝臓はその代謝を行う上で、全身の臓器や器官に栄養を届ける役割を担っています。
(2)解毒作用
肝臓は摂取した物質(アルコールや薬剤など)や代謝の際に生じた体に有害な物質を、毒性の低い物質に変え、尿や胆汁中に排泄するという解毒作用を持っています。
代表的な有害物質としてアンモニアがありますが、消化の際に発生したアンモニアも肝臓の働きによって無毒化され、尿と共に体の外に排泄されます。
(3)胆汁の生成・分泌
「胆汁(たんじゅう)」とは、肝臓の中で常に分泌されている物質であり、主に脂肪の乳化とタンパク質を分解しやすくする働きを持っています。
この働きによって脂肪は腸から吸収されやすくなったり、また、胆汁はコレステロールを体外に排出する際にも必要になる物質のため、常に肝臓の機能を正常にし、胆汁の流れが滞らないようにしておかなくてはなりません。
(4)免疫機能
肝臓には体内に入ってきたウイルスと戦う免疫細胞の約8割が存在すると言われています。
近年、流行している新型コロナウイルスも肝機能が低下している人の方が重症率や脂肪率が高い傾向にあることが分かっていますので、肝機能を正常にしておくことが健康に過ごすうえでは重要になります。
肝臓の病気の初期症状としては、肝臓に脂肪が沈着する「脂肪肝」が有名ですが、脂肪肝の原因としてはアルコールや糖質、薬の摂りすぎが挙げられます。
本書では「アルコール」「糖質」「薬」の事を【3毒】と表現されていました。
「アルコール」や「糖質」などは「毒」としてのイメージも湧きやすいですが、「薬」が毒になるのは意外ではないでしょうか。
薬と言っても抗生物質(抗菌剤)、神経科・神経科用薬(向精神薬)、解熱・鎮痛・抗炎症薬、循環器薬、漢方薬など多岐に渡りますが、本書を読んでいて意外だったのが、ウコンです。
ウコンと言えば、二日酔いの予防として飲み会前に飲むイメージでしたが、実は鉄の含有が多く、肝臓内で活性酸素が発生し酸化ストレスになることから、肝機能障害が示唆されていました。
自分が脂肪肝かどうかを調べるには病院で腹部超音波検査、CT検査、MRI検査を受診すればわかりますが、手っ取り早く確認する方法としては、健康診断などの血液検査結果の中でALTの値がASTより高ければ脂肪肝の可能性があります。
気になる方は、1度、病院で検査を受けてみることをお勧めします。
2.脂肪肝改善の7つの習慣
本書では脂肪肝改善プログラムであるスマートメソッドとして、7つの習慣が紹介されていました。
この7つの習慣を実践できれば、肥満や脂肪肝を改善できますので、是非、みなさんも取り組んでみてください。
(1)1日1回体重を記録
ダイエットや脂肪肝を改善するためには、いつまでに何をするかを数字として具体化しておくことが継続の秘訣です。
人はゴールを定めることによって、気持ちが楽になったり、ストレスが緩和したりします。
また、記録することで変化を目に見える形で視覚化することができるので、これまでの自分の取り組みや結果を振り返り、自分で自分を励すようにしておくことも継続のポイントです。
(2)飲み物はお茶・水・ブラックコーヒー
飲み物中に含まれている「糖」は肝臓にとっては、3毒の1つです。
ジュースなどに含まれている「糖」は液体で人体に入るため、吸収率が高くなってしまいます。
そのため、飲み物には「糖」が入っていない、お茶・水・ブラックコーヒーにするようにしましょう。
(3)ご飯の量を半分にする
私たちの主食であるご飯やパン、麺類には糖質が多く含まれています。
ご飯の量をいきなりゼロにするのはハードルが高いので、まずはいつもより少し減らし、最終的にはご飯の量を半分に持っていけるようにしましょう。
いつも使っているお茶碗のサイズを小さくすると、視覚的情報により自然といつもより食べる量が減りますので、こうしたテクニックを駆使しながら無理なくご飯の量を減らしていきましょう。
(4)野菜を2倍にする
前項でご飯の量を半分に減らした分、野菜の量は今までの2倍摂るようにしましょう。脂肪肝になっている患者さんは、野菜摂取量が少ない傾向があります。
野菜に多く含まれる食物繊維は糖質の吸収を抑えてくれる効果もあるので、糖質の吸収を抑える意味でも野菜はたくさん食べましょう。
(5)タンパク質は大豆・魚・鶏肉を優先的に
タンパク質は同じエネルギー量の糖質と比べても、太りにくい性質を持っています。タンパク質の方が消化に費やすエネルギーが多く必要となるためですが、それ以外にもタンパク質は食欲抑制効果もあるので、食べ過ぎを抑制してくれます。
(6)超加工食品を減らす
超加工食品とはハンバーガーやインスタント麺、スナック菓子、菓子パン等の事を指します。
安くお手軽で尚且つおいしいと、一石三鳥のような食べ物ですが、これらの食べ物は食べ始めたら止められない、いくらでも食べられるなど中毒性がある食べ物です。
お手軽や時短になる食べ物ですが、自分の人生も縮めてしまう食べ物ですので、少しずつ食べる量を減らしましょう。
(7)1日に10分以上運動する
食事の前後30分以内の運動は、食事により上がった血糖値を下げてくれる作用があります。
痩せるためには摂取カロリーより消費カロリーを多くすればよいので、食べる量を減らすか、運動や筋トレにより消費カロリーを増やせばよいことになります。
だからと言って、欲張っていきなり高強度の運動をしても続きませんので、まずは食後に10分間の軽い運動を心掛け、慣れてきたらもう少し運動強度や時間を増やすことをお勧めします。
本書のタイトルとなっている肝臓は、人体における重要な役割を担っている臓器であり、未だに人工臓器が作れないほど、多種多様な役割を担っている臓器です。
本書を読めば、なぜ肝臓を労わることがダイエットや体の調子を整えてくれるか理解できるはずですので、気になった方は是非本書を手に取って読んでみてください。
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