今回は熊谷達也さんの著書「希望の海 仙河海叙景」をご紹介します。
東北に生まれ、東北に暮らす直木賞作家の、「あの日」を描かない、連作短編集。
三年前の秋、早坂希は勤めていた会社を辞めて仙河海市に戻ってきた。病弱の母親の代わりに、スナック「リオ」の切り盛りをしている。過去に陸上選手として活躍していた希は、走ることで日々の鬱憤や悩みを解消していたが、ある日大きな震災が起きて、いつも見る街並みが180度変わってしまう――。(「リアスのランナー」「希望のランナー」)
高校生の翔平は、津波により両親と家を奪われ、妹の瑞希とともに仮設住宅で暮らしていた。震災の影響で環境が大きく変わり、次第に心が荒んでいく翔平だったが――。(「ラッツォクの灯」)
東北の港町に生きる人々の姿を通して紡がれる、3・11からの再生の物語、全10編。
本書の舞台は２０１１年３月１１日に発生した東日本大震災。
東北に生まれ、東北に暮らす直木賞作家である著書が描い短編集であり、全１０編から構成されています。
舞台となっているのは宮城県気仙沼市。
あれだけの大震災が起こっても時間は当たり前のように流れ、暮らしは続いていきます。
気仙沼市の港町で、日々、前を向いて生きていく人々の姿を描いた作品ですが、震災から１４年以上が経過した今だから感じるものがあると思います。
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