今日は東日本大震災から10年の節目の日です。
福島第一原子力発電所の事故を境に日本の原子力発電所に対する安全規制は大きく変わりました。新しく発足した原子力規制委員会は新規制基準を策定し、厳格な規制を設けて今日まで原子力事業者を律してきました。その規制の厳しさは、現在までに稼働した原子力発電所の基数を見れば明らかです。
しかし、福島第一原子力発電所の事故から10年を迎えた現在、原子力発電所に対する規制のあり方は、少しずつ変化しようとしています。
現状の規制は技術的・科学的観点から厳しく規制し、事業者に対して定量的に評価ができないものは、保守的又は網羅的に設計・製作・施工するよう強く求めるように出来ています。その結果、新規制基準に適合していることを証明するためには膨大や文献や解析を行う必要があり、説明性を示すために必要となる紙の量は何十万ページにもなるとされています。
原子力発電所の稼働数が少ない理由には、規制側が厳しいだけではなく、それを確認する規制側のリソースも足りていないために、審査が長期化し、結果的に原子量発電所の稼働を阻害している面もあります。
規制側としても譲れないところは譲らない強い姿勢を示す必要があるが、行政手続きについては、時間的に質的にも改善していかなくてはならないと指摘する声も多い。
また、近年は国が取り締まる現在の規制のあり方から、原子力事業者が改善策を自ら考え提案する規制にチェンジする自主性を重んじる動向もある。これは原子力事業者の責任感をより一層促す効果もあるが、そのためには規制側と原子力事業者の信頼関係が欠かせません。
規制側が一方的で高圧的な規制を設ければ、原子力事業者はそれを満足すればよいと、自分たちで考えなくなり、反対に原子力事業者の自主性だけを重んじれば、規制側の独立性は失われてしまいます。
規制側と原子力事業者との理想の関係を模索し続けているのが、現在の原子力規制委員会の委員長である更田豊志さんだ。更田委員長は原子力規制委員会の発足当初から委員として参画しており、現在の規制の枠組みや原子力事業者との関係性を最もよく知る人物です。
福島第一発電所の事故から10年。そしてこれからの10年。これからの未来に無くてはならない原子力発電所に対する規制のあり方について、更田委員長に対する期待は大きく、そしてとても重たいと感じる。
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