「走って、悩んで、見つけたこと。」「決戦前のランニングノート」

今回はプロランナーである大迫傑選手の著書である「走って、悩んで、見つけたこと。」及び「決戦前のランニングノート」をご紹介したいと思います。

市民ランナーのカリスマ、大迫傑、初の著書–。

これは、MGCの前に、オリンピックの前に必読の書である。
大迫傑は、悩みはすべて走ることで解決してきたと言う。
走っている間は、自分自身とじっくりと向き合え、答えを見つけられるのだと。

「僕が走ってきた中で見つけたこと、出会ったこと、現在の僕を形作っているものについて振り返ってみた」のが本書の内容だ。
大迫傑の、強さも弱さもすべてがさらけだされ、そこにこの本を出すことの覚悟、これから挑むことへの覚悟を感じる。

彼が教えてくれるのは、走ることの辛さと喜び。そしてそれを経験して学ぶ”生き方”。
マラソン日本記録保持者の葛藤から生まれた思考法が1冊に詰まっている。

〈目次〉
自分の道を選ぶこと。
マラソンを走るということ。
どんな結果も受け止めること。
環境が変わっても生き残る力を持つこと。
「今」を積み重ねること。
意志を持ち続けること。
ライバルをリスペクトすること。
不安をコントロールすること。
言い訳をしないこと。
目標を立てること。
子供たちに伝えたいこと。
大人たちに伝えたいこと。


テキストのほかに、64ページにわたる写真もみどころ。オフショットも掲載。
東京オリンピックに向けて、大迫傑は日誌を付け始めた。

1月にケニアに行き、当初はオリンピック直前まで標高2400mのイテンで合宿をする予定だった。
それが、ケニアのロックダウンにより、アメリカに帰国を余儀なくされる。
東京オリンピックまでの5カ月間、ノートには揺れる思いが綴られた。
ケニアに行ったのは、様々なノイズから逃れるためだったのに、それがうまくいかない、SNSのストレス、競技以外の悩み……、日誌にはそれらの感情が赤裸々に書き留められている。

本書は、その日誌そのものである。
この日誌がなぜ読み始めたら止まらないほど面白いのか――。作者が陸上選手だからか? オリンピアンだからか? いや、大迫傑だからだ。

この本を読み進めるうちに、大迫傑というカリスマを身近に感じられる一方、尊敬の念は高まる。

稀代のアスリートが一世一代の戦いの前に残した記録として、後世に語り継がれる書になることも間違いない。

8月8日の「決戦」の前に必読の書。
でも、誰にでも「決戦」は訪れるはず。いつ読んでも、自分を勇気づけてくれる1冊である。

大迫傑考案のランニングノートが付属でついている。著者が佐久長聖高校時代につけていた練習日誌に着想を得て作られたオリジナルノートである。

【目次】

プロローグ
僕が日誌をつける理由。

両角速先生よりメッセージ

佐久長聖高校3年生の時の日誌

日誌 イテン 2021/2/9~3/8

僕がケニアに来た理由。
SNSとの付き合い方。
失敗や負けたレースから学ぶこと。
次世代へと受け継いでいくもの。

日誌 イテン 2021/3/9~3/31

日誌 ポートランド 2021/4/1~4/19

僕にとってポートランドとは。
低酸素トレーニングについて。

日誌 フラッグスタッフ 2021/4/20~5/18

娘から学んだこと。

日誌 ポートランド&フラッグスタッフ 2021/5/19~6/8

ウエイトトレーニングについて。
揺れながら前に進む。
僕にとっての東京オリンピック。

大迫傑選手はリオデジャネイロオリンピックの5000m、10000mの日本代表、そして先日行われた東京オリンピックのマラソン日本代表として6位入賞された プロランナーです。

早稲田大学を卒業を1年間の実業団(日清食品グループ)を経て、アメリカのナイキ・オレゴン・プロジェクトに所属して活動していた異色のランナーとして報じられています。

ご自身の経歴については、「自分がやりたい環境を求めた結果、アメリカに行きついただけ。その環境が日本にあれば、日本でもよかった」と仰っています。

大迫選手は学生時代から注目を集めていましたが、一躍注目を集めたのは2018年10月に行われたシカゴマラソン、更に2020年3月の東京マラソン2020の2度にわたって日本記録を更新してからだと思います。

メディアや陸上連盟に対してもストレートに発言することから「異端児」とも呼ばれていましたが、私はそんな大迫選手の生き方をとても尊敬しています。

大迫選手は物事を判断する際に「したい、したくない」ではなく「必要か、必要ではないか」で判断するようにしていると仰っていますが、本書でも述べられていました。

この言葉は今までの大迫選手が歩んできたストーリーを表す言葉ではないかと思います。

真っすぐにそしてシンプルに考えて行動し、積み重ねていく。

それが大迫選手の強さの秘訣なんだと思います。

また、著書の中でも大迫選手は「僕に唯一特別な能力があるとしたら捨てる勇気を持てること」だと述べています。

それくらい今まで多くの犠牲を払って東京オリンピックの舞台に立たれたんだと思います。

本の中には練習内容などの協議に対すること、セカンドキャリアのこと、家族のことなどが赤裸々に語られており、メディアを通したイメージ通りの大迫選手もいれば、イメージと異なる大迫選手の姿やマインドも感じられました。

最近はTwitterやインスタグラム、そしてYoutubeなどでも競技や競技以外の事についても発信もされていたので、それらを観ていた私からすると「あっ!この場面の事だな」と感じる部分もありましたが、この本を読んでから実際の東京オリンピックで大迫選手が走っている姿を見ると、とても勇気をもらえました。

今回の東京オリンピックが現役選手としての最後の舞台となってしまったことは、とても寂しいですが、オリンピック後のインタビューで仰っていた通り、現役を退いても「真っすぐ」な大迫選手でいて欲しいと思います。

誰もが壱度は自分い真っすぐ生きたいと思ったことがあると思いますが、大変なことや辛いことがあるとどうしても真っすぐ生きることから逃げてしまいがちです。

真っすぐに生きることは確かに大変ですが、この本を観ていると本当に真っすぐ生きることに対して諦めない重要性をとても感じました。

陸上やスポーツを行っている方だけではなく、真っすぐ生きたいと思っている多くの方に手に取っていただきたい本となっていますので、興味のある方は是非、手に取って読んでみてください。

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