福島第一原発収束作業日記 ~3.11からの700日間~

今回はハッピーさんの著書「福島第一原発収束作業日記 ~3.11からの700日間~」をご紹介したいと思います。

汚染水問題、東電の工程表の欺瞞……今起きていることは全て予見されていた。3.11からほぼ毎日のようにツイッター上で綴られた、福島第一原発作業員による事故の収束作業日記。

「2011年3月11日14時46分—-。
オイラはその時、福島第一原子力発電所(1F)で原子炉建屋内の
オペフロ(建屋最上階のオペレーティングフロア)で作業してたんだ。
ドドン! という縦揺れの後、最初のグラグラッという横揺れが、
ゆっくりとグーラグーラという大きな横揺れに変わり何分間か続いた。
オイラは中越沖地震(2007年)の時、柏崎刈羽原子力発電所の
定期検査で作業してた経験もあり、「あぁ、あの時と同じ感じだなぁ…」って
思いながら、近くの手摺りにつかまり、両足で踏ん張って何とかその場に立っていた。
何分間か経って、その大きな横揺れがだんだん小さくなってきて
「柏崎の時と同じく地震が収まる」と思って安心した次の瞬間、
ゴゴォー! っという感じの今まで経験した事のない大きな横揺れが始まったんだ」

あの時、何が起きていたのか? 今、何が起きているのか?
福島第一原発の現役作業員による3・11からの「生」の手記。


「ハッピーさんが教えてくれる原発事故情報が、余計な不安と嘘めいた安心をどれだけぬぐいさってくれることか」
—-いとうせいこう

「進まぬ汚染水処理、劣悪な労務環境、困難を極める廃炉作業……。
名もなき原発作業員の「つぶやき」がこれほどまでに胸を打つのは、そこに原発の「細部」
を描写するこだわりと、仲間たちへの暖かい目線、そして強い覚悟があるからだ。
本書は貴重な原発事故の記録であり、どんな報道関係者にも真似できないルポルタージュであり、
新世代の労働者文学でもある。
ハッピーさんを通して知ることができた原発作業員たちの等身大の日常は、我々が決して
目を背けてはいけないものだ。
ハッピーさんがいてくれて、良かった。」
—-津田大介


【目次】
はじめに

プロローグ 爆発
—-死を覚悟した4日間 2011年3月11日~15日

第1章 待機
—-がんばろう日本! 2011年3月

第2章 死闘
—-汚染水がピンチ 2011年4月~7月

第3章 乖離
—-現実より「工程表」 2011年8月~11月

第4章 神話
—-「収束」なんてしていない 2011年12月~2012年3月

第5章 限界
—-仮設システムが悲鳴 2012年4月~9月

第6章 危機
—-再び汚染水がっ! 2012年10月~2013年3月

エピローグ 希望
—-オイラの願い

おわりに

コラム
(1) 作業員の生活
(2) 出会い
(3) 原発事故と動物
(4) 事故前の原発1
(5) 事故前の原発2

解説 未来への責任 布施祐仁

私が本書を知ったのは、福島第一原子力発電所の事故から10年という節目の年に、本屋さんの特集コーナーに置かれていたのがきっかけでした。

ハッピーさんは、福島第一原子力発電所の従事されている作業員の方で、事故当初から700日間の現場対応状況が本書になっています。

書籍となったきっかけは、福島第一原子力発電所の状況や発電所内で日々行われている復旧作業についての真実をたくさんの方に知ってもらうために始めたTwitterだったそうです。

私はそれを知り、直ぐにハッピーさんTwitterをフォローさせていただきました🤣

私も原子力発電所に従事する人間ですので、本書を読み進めるにつれて、この本の信憑性はとても高いものだと感じました。

私が最も共感したのは、報道や政府の杜撰な対応。

私は福島第一原子力発電所の事故に対する報道やマスコミ、そして政府の対応を目の当たりにし、「報道の真実」なんて言うものは幻想でしかないんだと痛感させらましたが、SNSが発達した今だからこそ、報道やマスコミを通さない真実が発信される機会が増えてきていると感じています。

そして、福島第一原子力発電所の真実こそが、まさに本書にであり、ハッピーさんのTwitter上でのつぶやきなんだと思います。

福島第一原子力発電所の事故原因や発電所内の状況というのは未だに解明されていないところが多くありますが、事故終息というのは、これから何十年もの期間をかけて取り組んでいかなくてはならない問題ですので、その問題の一端として、本書を読み進めることは私にとってとても有意義なものでした。

福島第一原子力発電所に限らず全国各地の原子力発電所内の状況というのは、あまりオープンになることが無く、福島第一原子力発電所の事故状況だけではなく、日頃、原子力発電所でどのようなことが行われているかを知ることが出来る本になっていますので、興味がある方は是非、手に取って読んでみてください。

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