結婚滅亡 ~「オワ婚時代」のしあわせのカタチ

今回は荒川和久さんの著書「結婚滅亡 ~「オワ婚時代」のしあわせのカタチ」をご紹介します。

「結婚が作られず」「「結婚が壊される」――。
2040年、人口の5割が独身(=ソロ社会)という時代がやってくる!
それは「絶望の未来」か?
それとも「希望の未来」か?
“オワ婚”時代の「結婚」「家族」「コミュニティ」「しあわせ」について、
豊富なデータをもとに、独身生活者研究の第一人者が
視点を多重化して考察した1冊。
いつもの風景も視点を変えれば、新しい「発見」がある!
本書で扱う『結婚』とは、
単に男女が婚姻関係を結ぶという形態だけのことではなく、
結婚によって今まで作られてきた「社会的構造」「経済的構造」「人間的構造」
という部分に着目したいと思います。
未婚化による結婚滅亡の時代が訪れるとするならば、
それは、若者が恋愛しなくなったからでも、貧乏になったからでもなく、
もっと本質的には、環境の構造上の問題が大きいのです。
2040年、人口の5割が独身(=ソロ社会)という時代がやってきます。
この5割の独身とは、未婚だけで作られるのではありまあせん。
未婚と離別死別による独身者の合計です。
つまり「結婚が作られず」「結婚が壊される」ことによって生まれる独身5割の国、
それが20年後の日本なのです。
そのソロ社会を「絶望の未来」とするのか「希望の未来」とするのか、
それは、結婚や家族や幸せというものを、
我々一人ひとりのどういう視点でとらえ直すかによっても、変わるのではないでしょうか。
(はじめにから抜粋)
■目次
1章 結婚の構造が足元から揺らいでいる
2章 「結婚しない」ってそんなに悪いこと?
3章 結婚したら“しあわせ”になれるのか
4章 そもそも「結婚」とは何だろう
5章 では「家族」とは何だろう
6章 結婚だけじゃない「安心のあり方」
■著者 荒川和久(あらかわ・かずひさ)
早稲田大学法学部卒業。
広告会社にて、自動車・飲料・ビール・食品など幅広い業種の企業業務を担当。
キャラクター開発やアンテナショップ、レストラン運営も手掛ける。
独身生活者研究の第一人者として、
国内外のテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBメディア多数出演。
著書に『結婚しない男たち』(ディスカヴァー携書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、
『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)など。

正直、恐ろしいタイトルですよね😅

近年では未婚化や離婚率の上昇が話題となっているせいか、結婚について、幸せなニュースより離婚や不倫と言った暗いニュースの方が多く報道されているように思います。

人は誰かの不幸を喜ぶ生き物なので、暗いニュースの方が注目度や視聴率を稼げるのはわかりますが、なんだか寂しい世の中ですよね。

2040年には人口の半分が独身となるソロ社会になると言われていますので、その兆候とも言えるのではないでしょうか。

本書は未婚化の原因やこれから訪れるソロ社会を幸せに生きるために、どのようにしたら良いかが述べられており、結婚と言う枠組みや宗教のようなものに疑問を感じていた私には、とても参考になりました。それでは、本書に述べられていたことをご紹介します。

未婚者が増える本当の理由
厚生労働省が発表した2018年の婚姻数は58万6438組であり、これは戦後初めて60万組以下となった最少記録で、日本で最も婚姻数が多かった1972年の109万9984組と比べると約半分になっています。

婚姻数が減れば必然的に人口も減るわけですが、国立社会保障・人口問題研究所は2018年に1億2644万人だった日本人の人口は2100年には5972万にまで減少すると推計しています。

これまた約半分です。

人口は無限に増え続けるのではなく、人口学的には多産多死 → 多産少死 → 少産少死 → 少産多死のサイクルで増減しているらしいので、増えれば減り、減れば増えるようです。

日本のように少子化が進んでいる国々は少産少死、アフリカのように人口が増えている国々は多産少死のステージにいるわけです。

そして日本の次のステージは少産多死。

今後人口が減ってくるのは間違いないようなので、そこまで一喜一憂せずに、そんなもんだと思うようにしましょう。

そもそも日本の人口が増えたのは1920~1980年代の皆婚時代です。

それまでは共働きで夫婦別財であったため、現代と同じように離婚も再婚も多かったようですが、1898年に施行された明治民法により男性は働き、女性は育児と言った夫婦の規範や役割分担が作り上げられたことにより、女性にとっては生きていく上では結婚するしかなかったのが、皆婚時代の引き金となっています。

(決して当時の男性が肉食だったというわけでは無いようです😮)

この頃は、個人の恋愛感情よりも家と家を結びつけるお見合いシステムが導入されたことも皆婚時代の一助となっています。

しかし、現代では結婚の自由化、経済破綻や社会的不安により未婚化が進んでおり、このお見合いシステムは破綻してしまいました。

皆婚時代はお見合い結婚の割合が全体の70%だったのに対して、現代は結婚相談所がきっかけとなった結婚も含めても、全体の5%程度だそうです。

男女の出会いであった職場においても、セクハラ問題が未婚化の原因になっていることも明らかになっています。

ですが、未婚化の原因はこれらの要因だけではなく、人口構造的な要因も大きいとされています。

その原因の1つが「男余り現象」と述べられています。

これは未婚女性より未婚男性が多く、必ず男性が余ることを指した言葉です。

成人のうち未婚男性の方が未婚女性より340万人も多くいることが分かっており、更に結婚を望まない女性がいることを考慮すると、もっと多くの男性が余ることになるとされています。

また、2018年の内閣府が行った意識調査では、結婚したいと思っている20~40歳代の未婚女性の約3割が男性に対して年収500~700万円、全体の7割以上が年収400万円以上を希望しているのに対して、20~24歳の未婚男性で年収が400万円以上なのは全体の2割程度しかいないことが分かっています。

そんなの逆玉に乗ればいいと思われる男性の方もいらっしゃると思いますが、年収が多いキャリアウーマンが専業主夫になる人と結婚するパターンは“稀”らしいです😅

そのような女性は自分より年収の高い男性を希望する傾向があり、男性もプライドがあるせいか自分より年収の低い女性と結婚しようとするため、尚更、未婚化に繋がっているのが現状です。

結婚の宗教化

日本人は皆婚時代の名残から結婚は必ずするべきだと思っている「結婚規範」が未だに根強く残っています。

それを表すデータとして内閣府が2015年に調査した国際意識調査では、日本人の未婚者の60%(既婚者は71%)が結婚するべきだと思っているのに対して、 フランスでは18%、スウェーデンでは21%、イギリスでは32%となっています。

未婚者であっても半数以上は「結婚するべき」だと思っているのですから、データにするとなんだか恐ろしいですよね。

結婚のメリットとして、「精神的安らぎ」、「社会的信用」、「子どもや家族が持てる」の3つが上位を占めていますが、これは「男は結婚してこそ1人前」、「結婚しない人は“何か問題がある”とレッテルを貼られる」と言った印象の裏返しです。

今では結婚していない人に「結婚しないのか?」、「結婚して落ち着いた方がいいよ」などその人の生き方を否定することをソロハラスメントと言い、独身者は老後の面倒を見てもらうのにタダ乗り(フリーライダー)しているのだと非難する政治家もいます。

既婚者は未婚者に対して結婚のススメや子供のすばらしさを伝えようとしますが、これこそまさしく結婚信者への勧誘行為であり、そして未婚者が結婚する気が無いことが分かるとその人を敬遠するようになります。

結婚するかしないかは個人の自由であり、その人の価値観次第です。

離婚に対するネガティブなイメージが先行し、結婚に踏み込めない人もいるかと思いますが、制度としても、もう少し自由度を増すようにしても良いのではないかと思います。

その人が幸せな人生を送れることが、1番大切なことだと思うので、結婚と言うオプションを強要するようなソロハラ社会がなくなればいいですね。

私自身も、無意識のうちに未婚者の方を傷つけている言動があるかも知れないので、気を付けたいと思います。

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