あと少し、もう少し

今回は瀬尾まいこさんの著書「あと少し、もう少し」をご紹介します。

本書は子供でも大人でもない微妙な年ごろである中学生の駅伝を通した青春小説です。

市野中学校の陸上部は駅伝の県大会出場を目指していますが、部員は３名しかおらず、６区間走る駅伝のための応援メンバーを部長の桝井を筆頭に勧誘するところから始まります。

駅伝に向けて駅伝部以外が走ることは、中学生くらいの年齢では良くあることで、サッカー部や野球部等の運動部の中には陸上部より足が速い子は良くいますよね。

今回の小説で面白いところは、そんな駅伝メンバー６人の駅伝に向けたヒストリーが、語り手を変え、同じ場面が繰り返し描写されているところです。

当たり前ですが、人にはそれぞれ感情があり、違った価値観を持っています。

普段、私たちは人の外側と接しており、その人の内側を見ることは出来ません。

ですが、本書は語り手を変えることで、同じ場面でもその子がどのように感じていたのか、どのような意図で発言したのかを知ることができ、物語が奥深く進んでいきます。

駅伝は襷を繋ぎながら定められた区間や距離を走るスポーツで、チームスポーツでもありますが、孤独なスポーツでもあります。

襷と言う想いを繋ぎながら走る中で、登場人物の人生を描く。

市野中学校駅伝部が県大会出場を果たせたか本書をお読みいただきたいのですが、何だかもう一度、あの頃に戻りたいと思う作品でした😊