■ はじめに
私は現在37歳、電力会社で働きながら、妻・中学2年生の娘・小学5年生の息子の4人家族で暮らしています。 仕事柄、緊急対応やトラブル処理が多く、年間の残業は毎年600時間を超えます。
そんな生活を続けていると、家族との時間はどうしても削られていきます。 「仕事は家族のため」と思いながら働いていたはずなのに、気づけば家族の表情や気持ちに目を向ける余裕すらなくなっていました。
そしてある日、私の価値観を根底から揺さぶる出来事が起きました。
■ 娘の一言が、私の人生を変えた
娘が小学校2年生のときの授業参観。 私は仕事で参加できず、後から妻に様子を聞きました。
そのとき、娘は先生にこう言ったそうです。
「パパのようになりたくない。」
胸が締め付けられるような感覚に襲われました。 仕事を頑張ることが家族の幸せにつながると信じていた私にとって、その言葉は“努力の方向が間違っていた”ことを突きつけられたようでした。
直接娘から聞いたわけではありません。 妻がオブラートに包んで伝えてくれたのかもしれません。 それでも、私が仕事を理由に家族との時間を犠牲にしていたのは事実です。
その結果、娘に「なりたくない」と言わせてしまった。
この出来事が、私が「家族時間を仕組み化する」決意を固めた原点です。
■ 日本の父親は、世界的に見ても“忙しすぎる”
まず前提として、日本の父親が置かれている状況をデータで見てみます。
- OECDの調査では、日本の男性の家事・育児時間は 1日わずか1時間7分 → OECD加盟国の中で最下位レベル
- 総務省の労働力調査では、週60時間以上働く男性は約3割
- 厚生労働省の調査では、男性の約半数が「家族時間が足りない」と回答
つまり、 忙しい父親が家族時間を失うのは、個人の怠慢ではなく構造的な問題 ということです。
私自身もその典型例でした。
■ 私の失敗:仕事を優先しすぎた代償
私は昇進に強い興味があるわけではなく、どちらかといえば「家族が大事」という価値観を持っていました。 それでも、日々の膨大な業務、締切の短い案件、国や自治体への報告資料づくりに追われ、家族との時間がどんどん削られていきました。
いつしか私は、 「仕事を頑張る=家族のため」 と自分を正当化するようになっていました。
しかし現実は逆でした。
- 家族の話を聞く余裕がない
- 休日は疲れ切って寝てしまう
- 子どもたちの変化に気づけない
家族のために働いているはずなのに、家族との距離はどんどん開いていく。
そして娘のあの一言につながったのです。
■ それでも心掛けていた“たった一つの習慣”
そんな私でも、どれだけ忙しくても続けていた習慣があります。
毎朝、子どもたちを見送ること。
朝の5分、10分でもいい。 「いってらっしゃい」と声をかけるだけでもいい。
この習慣だけは、どれだけ仕事が忙しくても欠かしませんでした。
もちろん、年齢や立場が上がるにつれ、後輩や部下の育成・指導のために時間が奪われることも増えました。 そのうえで成果物の質も求められるため、早朝から会社に行くこともありました。
しかし、それが続くと── 子どもたちが起きる前に家を出て、寝静まってから帰る生活 になってしまいます。
だからこそ、私は「朝だけは絶対に見送る」と決めました。 この小さな習慣が、家族とのつながりを保つ“最後の糸”になっていたのだと思います。
■ 家族時間は「気合い」では守れない
忙しい父親が家族時間を確保するために必要なのは、 「頑張る」ことではなく「仕組み化」することです。
気合いや根性に頼ると、忙しくなった瞬間に崩れます。 仕組み化すれば、忙しくても継続できます。
ここからは、私が実際に行った「家族時間の仕組み化」を紹介します。
■ 仕組み①:家族時間を“先に”スケジュールに入れる
多くの人は、仕事の予定を先に入れ、空いた時間に家族時間を入れようとします。 しかし、忙しい父親に「空き時間」はほとんどありません。
だからこそ、 家族時間を先にブロックする という逆転の発想が必要です。
● 私が実践したこと
- 毎週日曜の午前中は「家族の予定を共有する時間」に固定
- 平日の夜は週2回だけでも「子どもと話す時間」を確保
- 月1回は必ず「家族イベント」を入れる
- 4月に学校の行事予定が出たら、真っ先に休暇を申請する
スケジュールに入れてしまえば、仕事が入りにくくなります。
■ 仕組み②:仕事の“やらないことリスト”を作る
忙しい父親ほど、仕事で「やりすぎている」ことが多いです。
私が年間600時間残業していた頃、 「本当に必要な仕事」と「惰性でやっている仕事」が混ざっていました。
電力会社はまだ古い体質が残っており、惰性で続いている業務も多い。 しかし、それをやめるハードルはとても高いのが現実です。
それでも私は、 やらないことリスト を作りました。
● 実際にやめたこと
- 目的の曖昧な会議への参加
- 返信不要のメールへの即レス
- 完璧主義的な資料作成
- 必要のない飲み会
これだけで、1日1〜2時間は浮きました。
■ 仕組み③:家族との“定点観測”をつくる
家族との時間は「量」だけでなく「質」が大切です。
私は、 毎朝の見送りを“家族の定点観測” と位置づけました。
- 子どもの表情
- 今日の予定
- 最近の悩み
- 学校での出来事
短い時間でも、毎日続けることで「変化」に気づけるようになります。
■ 仕組み④:会話の“頻度”を上げる
忙しい父親ほど、家族との会話が減りがちです。
しかし、会話は「時間」より「頻度」が大事です。
● 私が取り入れた習慣
- 朝食を子どもたちと一緒に食べる
- 登校班の集合場所まで歩きながら学校の様子を聞く
- 土日はできるだけ一緒に食事をする
これだけでも、家族との距離は大きく縮まります。
■ 仕組み⑤:父親自身が“整っている”こと
家族時間を確保するには、父親自身のコンディションが重要です。
私はランニングと読書を習慣にしていますが、 これらは「自分を整える時間」として欠かせません。
- ランニング → ストレス解消
- 読書 → 思考の整理
- 早寝早起き → 朝の余白をつくる
父親が整っていると、家族との時間の質も自然と上がります。
■ 家族時間を取り戻した結果
仕組み化を進めた結果、 私は以前よりも家族との会話が増え、 子どもたちの表情の変化にも気づけるようになりました。
娘からの「パパのようになりたくない」という言葉は、 今では「パパ、今日一緒に走ろうよ」に変わりました。
娘は中学2年生という難しい年ごろですが、反抗期もなく、 今でも一緒に買い物に行ったり、お風呂に入ってくれたりします。 これは私のちょっとした自慢です。
■ まとめ:家族時間は“守るもの”ではなく“つくるもの”
忙しい父親でも、家族時間は取り戻せます。 必要なのは、気合いではなく仕組みです。
- 家族時間を先にスケジュールに入れる
- やらないことリストを作る
- 毎朝の見送りを定点観測にする
- 会話を習慣化する
- 父親自身が整う
この5つを実践するだけで、家族との時間は確実に増えます。
■ 最後に
もし今、仕事に追われて家族との時間が取れないと悩んでいるなら、 今日からできる小さな一歩を始めてみてください。
家族との時間は、人生の軸を取り戻す力があります。

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