青空と逃げる

今回は辻村深月さんの著書「青空と逃げる」を紹介します。

深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台――。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。

今回の作品は劇団俳優の夫:拳と有名女優のスキャンダル、そしてその有名女優の死から女優の事務所から逃げる道を選んだ妻:早苗と小学校5年生の息子:力との物語です。

夫は失踪し、残された妻と息子は、行くところで追いかけてくる事務所の人間から逃げるように新しい土地に逃げ回る。

懸命に逃げ回る2人でしたが、その土地で出会う人々との繋がりを通して、大きく変わっていきます。

おとなしい性格だった妻は、息子を守るために強くなり、引っ込み思案であった息子も1人で戦う母親を助けるために強くなる。

逃げ回る先で少しずつ夫である拳の居場所の情報、失踪の真実に辿り着きます。

失踪の真実については、力と拳が妻の早苗を守るために交わした約束が重要なキーになっているのですが、気になる方は是非、本書を手に取ってお読みください。

世の中では物事から逃げることに対して批判的な意見が多いのですが、逃げることは本当にいけないことなのでしょうか。

特に大人になってから物事から逃げようものなら、世間や周りの人から白い目で見られたり、バッシングを受けたりしますが、生きている動物の中で逃げてバッシングを受けるのは人間だけのような気がします。

弱肉強食の中で生きている動物は、むしろ逃げることが命を守ることに繋がります。

だから、逃げたくなったら大人も子供も逃げればいいと思います。

本作はそんな当たり前のことを教えてくれる作品でした。

もし、逃げたいと思っているのに逃げれずに苦しんでいる人がいれば、是非、本作を手に取って読んでみてください。

きっとあなたの背中を押してくれる作品になると思います。

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